扶養内の人にYouTube収益が発生しても、すぐにすべての扶養から外れるとは限りません。判断には少なくとも「本人の所得税・住民税」「家族が受ける配偶者控除や扶養控除」「健康保険の被扶養者」の3つがあり、基準と計算方法が異なります。売上ではなく所得を見る制度もあれば、将来の収入見込みで判定する制度もあります。
最初に分けたい3つの判定
| 判定 | 主に見るもの | 確認先 |
|---|---|---|
| 本人の所得税・住民税 | 年間の合計所得や控除 | 税務署、市区町村 |
| 配偶者控除・扶養控除 | 扶養される人の合計所得 | 国税庁、勤務先 |
| 健康保険の被扶養者 | 今後の年間収入見込みなど | 加入する健康保険 |
「税金の扶養に入れたから健康保険も大丈夫」とは限りません。逆に、税法上の控除額が減っても、健康保険の扶養が直ちに外れるとは限りません。
YouTubeでは売上から必要経費を引いて所得を計算
所得税の計算では、原則としてYouTubeの広告収益や案件報酬などの収入から、収入を得るために直接必要だった経費を引いた金額が所得です。申告要否の基本はYouTube収益はいくらから確定申告が必要?で整理しています。
たとえば年間のYouTube売上が70万円、動画編集ソフト、機材の減価償却費、通信費の事業分などが20万円なら、YouTubeに関する所得は50万円です。給与やほかの副収入があれば、それらも含めて判定します。
家賃やスマホ代を経費にする場合は、私生活分を除く家事按分が必要です。詳しくは「YouTube副業の家賃・電気代は経費になる?」も確認してください。
配偶者控除と配偶者特別控除
2026年分の所得税では、配偶者の合計所得金額が62万円以下であれば、納税者本人の所得要件などを満たすことで配偶者控除の対象になり得ます。給与収入だけなら136万円以下が目安です。合計所得が62万円を超えても133万円以下なら、配偶者特別控除の対象になる可能性があります。
ただし、YouTube所得だけを見て判定するのではありません。パート給与がある人は給与所得とYouTubeの所得を合算します。納税者本人の合計所得金額によって控除額が変わり、1,000万円を超えると配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。
子どもや親の扶養控除は別の条件
配偶者以外の親族については扶養控除の条件を確認します。年齢、同居・送金状況、生計を一にしているか、年間の合計所得金額などが関係します。16歳未満は所得税の扶養控除の対象ではありませんが、住民税や各種手当の申告で情報が必要な場合があります。
大学生年代などは制度改正の影響を受けやすいため、対象年分の国税庁資料を確認してください。家族の勤務先へ提出する扶養控除等申告書にも、YouTube所得の見積額を反映します。
健康保険の「130万円未満」は計算方法が違う
一般的な健康保険の被扶養者認定では、年間収入130万円未満が一つの基準です。ただし、過去1年間の確定額ではなく、認定時点から今後1年間の収入見込みで判断されることがあります。また、同居・別居、被保険者の収入との関係など、ほかの条件もあります。
特に注意したいのが必要経費です。税務上は経費にできても、健康保険では差し引ける経費を限定している場合があります。青色申告特別控除や開業費の償却などを、そのまま扶養判定で控除できるとは限りません。
協会けんぽ、健康保険組合、共済組合などで必要書類や扱いが異なるため、「自営業・YouTube収入がある被扶養者の場合、何を収入とし、どの経費を差し引けるか」を加入先へ確認するのが確実です。
勤務先の社会保険に自分で加入する場合
パートやアルバイト先の規模、週の所定労働時間、月額賃金、雇用見込みなどの要件を満たすと、年収130万円未満でも勤務先の社会保険に加入する場合があります。いわゆる106万円の壁は、YouTube収益を単純に足して判定する制度ではなく、勤務先での賃金や働き方などを基準にします。
20万円以下でも申告が必要なことがある
会社員などで一定の条件を満たす場合、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる特例があります。しかし、住民税の申告まで不要になる制度ではありません。また、医療費控除などのため確定申告をするなら、20万円以下の副業所得も含めます。
20万円という数字は、配偶者控除や健康保険の扶養判定とも別物です。「20万円以下だから扶養に影響しない」と判断しないようにしましょう。
具体例:パートとYouTubeを両立している場合
パートの給与収入が100万円、YouTube売上が45万円、YouTubeの必要経費が15万円だったとします。税務上は給与所得とYouTube所得30万円を合算して、本人の税額や配偶者控除等を判定します。
一方、健康保険では、YouTubeの15万円をすべて必要経費として差し引けるとは限りません。直近の月収が増えて今後も続くなら、年間見込みで再判定されることもあります。確定申告書だけでなく、売上台帳や経費明細、契約画面などの提出を求められる場合があります。
収益が発生したら行うチェックリスト
- AdSenseや案件を含む年間売上見込みを集計する
- 税務上の必要経費と私用分を分ける
- 給与所得など他の所得を合算する
- 家族の年末調整に使う所得見積額を更新する
- 加入する健康保険へ自営業収入の扱いを確認する
- 住民税申告が必要か市区町村へ確認する
- 所得証明、帳簿、領収書を保存する
よくある質問
収益が一度だけ130万円を超えたら即座に扶養から外れますか?
一時的な収入か、今後も続く収入かで扱いが変わる可能性があります。自己判断せず、入金明細や契約内容を用意して健康保険へ相談してください。
機材を買って所得がゼロなら申告も連絡も不要ですか?
税務上の所得がゼロでも、健康保険が同じ経費計算を採用するとは限りません。家族の勤務先や健康保険から収入確認を求められたときに説明できるよう記帳します。
扶養を外れそうなので売上を翌年にずらしてもよいですか?
入金日を自由に選ぶのではなく、取引条件に応じた正しい時期に収入を計上します。未収の報酬も計上対象になる場合があります。
まとめ
YouTube収益がある人の扶養判定は、一つの金額だけでは決まりません。税金は合計所得、健康保険は収入見込みと独自の経費基準、勤務先の社会保険は労働条件を中心に確認します。売上と経費を毎月記帳し、金額が基準に近づく前に勤務先・健康保険・自治体へ確認しましょう。

