動画制作サービスの利用料は、YouTubeやSNSの収益を得るために必要なら、原則として必要経費を検討できます。契約しただけで自動的に全額経費になるわけではなく、仕事との関係と利用期間がポイントです。
経費にできるか判断する3つの基準
- 動画制作や投稿管理に実際に使っているか
- 私用と共用なら事業分を合理的に区分できるか
- 契約期間と費用が帳簿に正しく反映されているか
国税庁は、収入を得るために直接要した費用や、その年に生じた業務上の費用を必要経費としています。プライベートだけで使うサービスは対象外です。
サービス別の考え方
| 支出例 | 確認ポイント | 勘定科目例 |
|---|---|---|
| 動画編集ソフト | 編集業務との関係、月払い・年払い | 通信費、消耗品費、支払手数料など |
| BGM・効果音サイト | 商用利用範囲と契約期間 | 支払手数料、使用料など |
| 画像・動画素材 | 特定動画用か定額契約か | 消耗品費、広告宣伝費など |
| クラウドストレージ | 動画データ保存の事業割合 | 通信費 |
| 生成AIサービス | 台本・画像・編集への使用実態 | 通信費、支払手数料など |
勘定科目に絶対の正解があるわけではありません。同じ性質の支出を毎回同じ科目で処理し、後から内容が分かる摘要を残すことが重要です。
月額3,000円を支払った場合の仕訳例
当月分のサービス利用料を事業用口座から支払い、通信費で統一して記帳する例です。3,000円は説明用の仮定で、特定サービスの料金ではありません。税込経理とし、消費税区分の説明は省略しています。
| 使い方 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 全額業務用 | 通信費 3,000円 | 普通預金 3,000円 |
| 業務75%・私用25% | 通信費 2,250円 事業主貸 750円 |
普通預金 3,000円 |
摘要には「9月分・動画編集サービス・業務利用75%」など、対象期間と按分根拠が追える内容を残します。カード払いなら利用時と口座引き落とし時を分けて処理し、両方で経費を計上しないようにします。
私用口座と混ざっている場合は、YouTube収益の事業用口座と仕訳も確認してください。
年払いは支払日だけで決めない
必要経費は、原則としてその年に債務が確定した金額を計上します。12月に翌年分まで含む年間契約を支払った場合などは、契約期間に応じた処理が必要になることがあります。契約開始日、更新日、対象期間が分かる請求書を保存してください。
私用でも使う場合は家事按分
仕事用動画の編集にも家族動画の編集にも使う場合、全額を経費にするのではなく、利用時間や制作本数など説明できる基準で事業分を区分します。
| 例 | 按分の考え方 |
|---|---|
| 月10本中8本が収益用動画 | 制作本数を基準に80%を検討 |
| 週20時間中15時間を業務利用 | 利用時間を基準に75%を検討 |
按分率は都合のよい数字ではなく、使用記録などで説明できる基準にします。
保存しておきたい証拠
- 請求書、領収書、決済メール
- 契約プランと利用期間が分かる画面
- クレジットカードや銀行の明細
- 利用した動画やプロジェクト名
- 家事按分の計算根拠
メールやサイトで受け取った請求書・領収書は、対象となる電子取引データとして保存します。印刷した紙だけに頼らず、受け取ったPDFなどを整理してください。具体的な保存要件は国税庁の電子取引データ保存の案内で確認できます。
たとえば「2026-09-22_サービス名_3000円.pdf」のように探せる名前を付け、契約情報と対応させます。ファイル名を付けるだけで全ての法定要件を満たすわけではありません。
よくある質問
無料期間後に有料化した場合は?
実際に料金が発生した期間について、仕事との関係を確認して記帳します。無料期間を経費にすることはできません。
海外サービスで日本円の領収書がありません
外貨建て請求書と決済明細を保存し、採用した為替換算の根拠が分かるようにします。消費税区分はサービス内容や契約先で変わるため、個別に確認してください。
制度確認日:2026年9月22日。参考:国税庁「必要経費の知識」
活動開始時の費用は「YouTube収益化前の支出と開業費の分け方」も参照してください。

