会社員が副業を始めると、年末調整の「基礎控除申告書」で迷う数字が増えます。特に間違えやすいのは、副業の入金額をそのまま書くことと、「利益が20万円以下なら書かなくてよい」と考えることです。
先に結論をいうと、アルバイトなど給与で受け取る副業は本業の給与と合算し、業務委託や原稿料など給与以外の副業は、原則として売上から必要経費を引いた所得を記入します。20万円以下でも、基礎控除を判定する合計所得の見積もりから外しません。
この記事では、2026年分(令和8年分)の申告書について、副業がある人に必要な部分だけを整理します。
最初に、副業が「給与」か「給与以外」かを分ける
| 副業の形 | よくある例 | 記入の考え方 |
|---|---|---|
| 給与 | アルバイト、パート、別会社との雇用契約 | 本業分と合わせて「給与所得」の収入金額を見積もる |
| 給与以外 | 業務委託、動画編集、原稿料、ブログ収益 | 売上から必要経費を引き「給与所得以外の所得」に含める |
振込名義や働き方の呼び名だけでは決まりません。雇用契約で給与として受け取り、源泉徴収票が交付される副業なら給与型です。請求書を出して報酬を受ける業務委託などは、給与以外として扱うのが一般的です。判断できないときは契約書や支払明細を確認してください。
給与型の副業を「給与所得以外」に入れると、給与所得控除の計算がずれます。反対に、業務委託の売上を給与欄へ足すのも誤りです。まず受け取り方を分けることが、最短の確認になります。
2026年分は1月から12月までの見込みで書く
基礎控除申告書に書くのは、提出日までの確定額だけではありません。2026年1月1日から12月31日までの所得を、その時点で合理的に見積もります。
給与の見積もり
- 直近の給与明細で、本業の年初からの課税支給額を確認する
- 残り月の給与と賞与を足す
- 給与型の副業や年内の転職前給与があれば、その収入も足す
- 申告書の計算表や勤務先の年末調整システムで、給与所得へ換算する
給与以外の副業所得の見積もり
年内の売上見込み − 年内の必要経費見込みで計算します。通帳への入金合計ではなく、まだ入金されていない年内売上も計上時期を確認して含めます。年末の売上時期が曖昧なら、副業の12月売上をいつ申告するかも確認してください。
実務では、1~9月の実績に10~12月の受注予定を足し、未購入の機材や未払いの利用料を経費へ先回りして入れない方法が安全です。経費の二重計上が心配な場合は、副業経費の二重計上を防ぐ確認方法が役立ちます。
20万円以下でも申告書の見積もりには含める
会社員の副業でよく聞く「20万円」は、一定の条件を満たす人が所得税の確定申告を省略できるかを判断する基準です。年末調整で基礎控除額を決めるための所得見積もりとは、目的が違います。
たとえば業務委託の売上が25万円、必要経費が8万円なら、副業所得は17万円です。確定申告の要否はほかの条件も含めて判断しますが、基礎控除申告書では、この17万円を給与所得以外の所得から外しません。
副業所得で控除額の区分が変わる例
2026年分は、本人の合計所得金額が489万円以下なら基礎控除は104万円です。489万円を超えて655万円以下になると67万円になります。
給与所得の見積額が470万円で、業務委託の副業が次の内容だったとします。
- 副業売上:40万円
- 必要経費:15万円
- 副業所得:25万円
- 合計所得の見積額:470万円+25万円=495万円
給与だけなら489万円以下ですが、副業所得を足すと495万円になるため、基礎控除は104万円の区分ではなく67万円の区分です。売上40万円をそのまま足しても、25万円を記入し忘れても判定がずれます。
なお、104万円は全員一律ではありません。合計所得金額が655万円を超える人にも別の区分があるため、最終的には手元の令和8年分様式に印刷された表で確認してください。
記入前に作る5行メモ
| 確認する数字 | メモする内容 |
|---|---|
| 本業の給与収入 | 年初からの実績+残り給与+賞与 |
| ほかの給与収入 | アルバイト、前職などの年内合計 |
| 給与以外の売上 | 業務委託、原稿料などの年内見込み |
| 必要経費 | 副業に直接必要な年内見込み |
| 給与以外の所得 | 売上見込み-必要経費見込み |
この5行を先に作ると、申告書の「収入」と「所得」を取り違えにくくなります。生命保険料控除や社会保険料控除などを、合計所得金額の見積額から先に差し引かない点にも注意してください。
会社にはどこまで分かる?
申告書を勤務先へ提出すれば、記入した給与収入や給与以外の所得の見積額は年末調整の担当者が確認します。ただし、この欄だけで取引先名や案件ごとの売上明細まで書く形式ではありません。
副業を隠すために所得をゼロにしたり、20万円以下だから省いたりすると、基礎控除の判定を誤る可能性があります。就業規則の問題と税務上の記入は分け、必要なら勤務先の担当部署へ提出方法を確認しましょう。
見積額が後から変わったら
提出後に大型案件が決まった、賞与が予想より多かったなど、控除区分が変わりそうなときは、勤務先が年末調整を確定する前に訂正できるか確認します。年末調整後に実額との差が判明し、税額へ影響する場合は、確定申告が必要になることがあります。
また、年末調整は給与について行う手続きです。業務委託など給与以外の副業所得そのものが、年末調整だけで精算されるわけではありません。確定申告の要否は別に判断してください。
公式情報の確認先
まとめ
副業がある会社員は、給与型なら本業の給与と合算し、業務委託型なら売上から必要経費を引いた所得を基礎控除申告書へ反映します。20万円以下でも、合計所得の見積もりから省くルールではありません。
2026年分は489万円の境目で基礎控除額が大きく変わります。給与、副業売上、必要経費を5行に分けてから転記し、見込みが変わったら年末調整の確定前に勤務先へ相談してください。
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。個別の契約や所得区分、申告要否は、勤務先、所轄税務署、税理士などへご確認ください。

