仕事用パソコンの画面が割れた、故障した部品を交換した、編集を速くするために部品を増設した。同じ修理店への支払いでも、帳簿で全部を同じ「修繕費」にできるとは限りません。
確認の出発点は、元の状態へ戻したのか、性能や価値を高めたのかです。この記事では、個人の副業で使うパソコンの修理請求書を整理する手順を紹介します。新しい本体の購入は別の取引として考えます。
金額より先に、作業内容を分ける
壊れた画面を同等品へ交換するなど、通常の維持管理や原状回復に関する支出は修繕費を検討します。一方、使用できる期間を延ばしたり価値を増やしたりする部分は、資本的支出として、減価償却を検討します。
店の明細が「PC修理一式」だけなら、故障箇所、交換部品、同等品か上位品か、作業料の内訳を確認します。支払先が修理店という理由や、科目の名前が修理という理由だけでは判断しません。
修理と増設が同じ請求書に載っている例
説明用に「故障した画面の同等品交換4万円」と「作業速度を上げるための増設6万円」が一枚の請求書にあるとします。合計10万円という数字だけで処理を決める前に、二つの作業の目的を分けて確認します。
原状回復に当たる部分と改良に当たる部分が区別できれば、それぞれの内容に沿った処理を検討できます。実際には少額の取扱いなどの要件も関係します。この例は、増設を必ず資産にするという結論を示すものではありません。
| 資料に残すこと | 確認する意味 |
|---|---|
| 修理前の不具合 | 元へ戻す目的かを説明する |
| 交換前後の仕様 | 同等品か性能向上かを区別する |
| 部品・作業料の内訳 | 混在する支出を分ける |
| 対象PCの資産番号 | どの固定資産に対応するかを追う |
20万円・60万円の目安を、買い替えへ流用しない
国税庁の案内には、一つの修理・改良等が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期で行うものなど、修繕費として扱える基準があります。修繕費か資本的支出か明らかでない金額については、60万円未満や前年末の取得価額の10%以下などの判定も示されています。
| 基準 | 境界と条件 |
|---|---|
| 一つの修理・改良等が20万円未満 | 20万円ちょうどは「未満」に含めない。おおむね3年以内の周期による扱いは別の条件 |
| 区分が明らかでない金額が60万円未満 | 60万円ちょうどは「未満」に含めない |
| 区分が明らかでない金額が前年末取得価額のおおむね10%以下 | 未償却残高ではなく取得価額を確認。60万円未満の基準とは「または」の関係 |
例えば、区分が明らかでない支出が65万円でも、前年末の取得価額が700万円なら10%は70万円です。これは10%以下の基準を確認する説明用の例で、明らかな性能向上部分や新しいPCの購入にそのまま当てはめる例ではありません。
ただし、「60万円以下なら何でも経費」ではありません。明らかな資本的支出と、区分が不明な支出を混ぜず、条件を確認してください。また、新しいPC本体を購入する際の少額資産の判定とは別です。金額の基準だけを抜き出して、すべての機材購入に当てはめないようにしましょう。
資本的支出を、元のPCの取得価額へ一律に足さない
国税庁2107では、2007年4月1日以後の資本的支出は、原則として元の減価償却資産と同じ種類・耐用年数の資産を新たに取得したものとして償却します。会計ソフトで元のPCの取得価額だけを書き換える処理を、すべての場合に使わないでください。原本の資産と今回の支出の対応を残し、ソフトの資本的支出の登録方法を確認します。特例の適用は、元の資産の取得時期や償却方法も確認して判断します。
私用にも使うPCは、業務分の根拠を残す
仕事と私用の両方で使っているPCなら、修理代を全額事業用と決める前に、業務利用の実態を区分できるか確認します。作業日・用途などの記録を残し、従来の按分と矛盾していないか見ます。
昨年は仕事半分と説明したPCが、修理時だけ全額事業用になっていたら、その変化を説明する必要があります。使い方が変わったなら、いつから何が変わったか記録します。便宜的な割合を選ぶだけで終わらせないでください。
会計ソフトへ入れる順番
- 修理の請求書・領収書を保存し、対象PCと作業内容を特定する。
- 原状回復、改良、新しい機器の購入が混ざっていないか分ける。
- 少額基準などの要件と業務利用分を確認し、処理方針を決める。
- 経費または固定資産の登録を行い、カード明細との対応を付ける。
- 自動連携から同じ支払いがもう一件登録されていないか確認する。
資本的支出を固定資産として登録したうえで、カード連携で消耗品費としても登録すると、同じ支出を重ねて処理する原因になります。固定資産台帳で作成した仕訳と、カード明細の処理がどうつながるか、ソフトの案内に沿って確認しましょう。
修理をキャンセル・返金された場合
診断料だけ払ったのか、部品代を戻されたのか、作業は終わっているのかを分けます。元の登録を確認せず、返金全額を新しい売上にしないでください。別のPCを買うことになった場合も、修理費の残りと新規購入費は別に資料を残します。
まずは明細の「修理一式」を、故障箇所・部品・作業料の三つに分けられるか確認してください。判断が難しい改良や申告済み年度の処理は、資料を揃えて税理士などへ確認すると話が進みやすくなります。
迷ったときの追加確認
保証で無料修理になったら
実際に支払いがない部分へ架空の経費は入れません。自己負担の送料・診断料があるなら、その内容を資料で確認します。有償修理の見積額を、保証適用後もそのまま帳簿へ入れないようにしましょう。
廃棄して買い替えたら
修理をしたことにはなりません。古いPCの固定資産台帳と処分、新しいPCの購入を別に確認します。診断料だけ残った場合はその請求も分けます。機器名・型番・購入日を摘要に残すと、新旧の資産や修理の対象を取り違えにくくなります。
新品購入時の扱いは、機材費と減価償却の基本で確認できます。
確認日:2026年10月7日。参考:国税庁・修繕費とならないもの、国税庁・資本的支出。個別の処理は支出内容・資産の取得時期・経理方法を確認してください。

