家で使っていたパソコンを、動画編集や記事制作の副業にも使い始めた。そんなとき、使い始めた日の中古相場を調べ、その金額を丸ごと経費に入れていませんか。
個人の私物を業務用へ転用する場合は、いつ、いくらで購入し、いつから業務に使ったかを整理するのが先です。この記事では、新品で購入して私用に使っていたパソコンを、個人の副業に転用する場面を中心に扱います。法人への譲渡や、最初から中古で買った資産は条件が異なります。
最初に区別する4つの数字・日付
- 取得価額:もともと購入したときの金額。購入履歴や請求書で確かめる。
- 取得日:実際に購入・取得した日。副業を始めた日に置き換えない。
- 事業供用日:業務に使い始めた日。仕事を受けた記録や制作ファイルと合わせて説明できるようにする。
- 未償却残高:私用期間の価値の減少を所定の方法で計算し、取得価額から差し引いた額。
「買った金額」と「仕事に使い始めた時点で残っている金額」は別です。どちらも会計ソフトで使うことがあるため、一方だけメモして終わらせないようにします。
中古相場で金額を決める前に、転用の計算を確認
国税庁は、非業務用の資産を業務用へ転用するとき、非業務期間の減価の額を計算して未償却残高を求める方法を案内しています。私用期間の計算には、法定耐用年数の1.5倍に相当する年数を使い、旧定額法に準じた計算を行います。
私用期間の年数に端数がある場合は、6か月以上を1年とし、6か月未満は切り捨てます。一方、法定耐用年数を1.5倍した年数の1年未満の端数は切り捨てます。二つは別の端数処理なので、購入日と転用日を確認してから計算してください。
ここで注意したいのは、「私用期間の減価を計算する年数」と「業務に使い始めてからの償却方法」を混ぜないことです。取得時期や、新品・中古の取得条件によって確認する項目が変わります。単に購入額を使用年数で割る計算ではありません。
たとえば、2023年に新品で購入し、2026年から副業用にも使うケースなら、2023年の購入資料を残したまま、2026年の事業供用日を別に記録します。2026年に中古品を自分から買い直したことにしたり、新しく支払った金額として預金から落としたりはしません。
登録する前に作る「パソコン1台のメモ」
次の項目を一枚にまとめると、ソフトの入力画面で迷いにくくなります。例の金額や割合をそのまま使うのではなく、自分の資料で埋めてください。
- 機種名・型番と購入先。複数台ある場合は識別できる名前を付ける。
- 購入年月日と取得価額。注文メール、領収書、決済明細をそろえる。
- 新品で購入したか、中古で購入したか。
- 業務を始めた日と、そのパソコンを業務に使い始めた日。
- 私用期間の計算過程、適用する償却方法・耐用年数・未償却残高。
- 仕事と私用の使い分け、その事業利用割合の根拠。
購入日のメールが見つからない場合は、注文履歴、カード明細、保証登録の順に探します。金額や日付がどうしても不明なら、推測した数値を確定情報として登録せず、判明している資料を持って税理士などに確認しましょう。
仕事でも私用でも使うなら、割合の根拠を残す
同じパソコンで動画編集と趣味の視聴をしているなら、事業に関係する部分を区分する必要があります。「副業を始めたから100%」とは限りません。
たとえば、代表的な週について、業務の編集・執筆時間と私用の時間を記録する方法があります。毎週同じとは限らないので、繁忙期や使い方が変わったときも確認します。作業時間での区分が実態を表さないなら、別の合理的な根拠を検討してください。
大事なのは、高い割合を選ぶことではなく、なぜその割合になるのかを説明できることです。按分の考え方は、自宅作業の経費と家事按分でも整理しています。
固定資産台帳への登録で確認すること
入力時には、取得価額、期首・転用時の未償却残高、事業供用日、事業利用割合を、それぞれ該当する欄へ入れます。ソフトによって登録手順が違うため、他製品の画面例をそのまま写さないでください。
未償却残高を求めたからといって、取得価額の欄をその残高に置き換えるわけではありません。弥生の個人向け案内でも、私用期間の減価を引いて残高を決める一方、減価償却費自体の計算は実際の取得価額を基にすると説明しています。元の購入金額、私用期間の減価、転用時の残高は分けて控えます。
登録後は、その年の減価償却費と年末の残高を確認します。年の途中から業務に使ったのに、意図せず丸1年分の計算になっていないか、私用分まで経費に入っていないかを見ます。資産登録から自動で作られた仕訳に加え、同額の消耗品費を手入力していないかも点検します。
残高が10万円未満なら、すぐ全額経費にできる?
未償却残高が小さいことと、取得価額に基づく少額資産の判定は別です。私用期間を差し引いた残高だけを見て「10万円未満だから全部経費」と決めないようにしましょう。特例を使う場合も、取得・供用時期、申告方式、適用要件の確認が必要です。
古いパソコンだから、資料は不要?
古い機器でも、どの資産をどの金額で帳簿に入れたかは説明できる必要があります。申告前に、固定資産台帳と購入資料を同じ場所から確認できるようにしておくと安心です。
新しく買う機材との違いも整理したい人は、機材の購入費と減価償却の基本へ。まずは「購入日」と「業務に使い始めた日」を別々に書き出してください。
確認日:2026年10月7日。参考:国税庁・非業務用から業務用への転用、減価償却のあらまし、弥生・私用資産を事業へ転用する場合。個別の税務判断は専門家へご確認ください。

