自宅で撮影や編集をしているYouTuberにとって、家賃や電気代は大きな支出です。ただし、毎月の請求額をそのまま全額経費にできるわけではありません。生活にも使う費用は「家事関連費」と呼ばれ、仕事に直接必要な部分を合理的に分ける必要があります。
この分け方が家事按分です。大切なのは、経費割合を高く見せることではなく、面積、使用時間、使用量など第三者にも説明できる基準を選び、計算根拠を残すことです。
家事按分できる費用と主な基準
| 費用 | 按分基準の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 賃貸住宅の家賃 | 仕事専用スペースの床面積 | 共有部分や私用時間を考慮 |
| 電気代 | 機器の消費電力・使用時間、作業時間 | 季節差が大きければ定期的に見直す |
| インターネット代 | 業務時間、接続端末、通信量 | 家族利用分を除く |
| スマホ料金 | 業務通話、投稿、連絡の利用割合 | 端末代と通信料を分けて確認 |
| 水道・ガス代 | 撮影内容などとの直接関係 | 一般的な動画編集では説明しにくい |
国税庁は、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引記録などに基づいて業務上必要な部分を明らかに区分できる金額に限るとしています。「副業だから一律30%」「半分までは無条件」といった決まりはありません。
家賃の家事按分を計算する
基本になるのは床面積です。家賃120,000円、住居全体60平方メートル、撮影・編集に使う部屋10平方メートルとします。その部屋を仕事専用に使っているなら、按分割合は次のようになります。
10平方メートル ÷ 60平方メートル = 約16.7%
120,000円 × 16.7% = 約20,040円
ただし、その部屋を夜は寝室として使うなら、面積だけで16.7%を経費にするのは実態とずれる可能性があります。1日8時間を業務に使うなら、さらに時間割合を掛ける方法があります。
120,000円 × 16.7% × 8時間÷24時間 = 約6,680円
逆に、撮影機材を常設し、家族が入らない専用スタジオなら、仕事専用であることを写真や間取り図で示しやすくなります。廊下、キッチン、トイレなど共用部分をどこまで含めるかは慎重に決めましょう。
電気代の家事按分を計算する
電気代は床面積より、使用機器と時間で考える方が実態に合う場合があります。月の電気代が15,000円で、パソコン、モニター、照明、エアコンなど業務使用分を30%と見積もれるなら、経費は4,500円です。
15,000円 × 30% = 4,500円
根拠を強くするには、1か月だけでも作業日と時間を記録し、主な機器の消費電力を確認します。撮影日が月4日しかないのに電気代の80%を業務用とするのは説明が難しいでしょう。編集を毎日8時間行い、高性能PCと複数モニターを使う人なら、一般家庭より業務割合が高くなることはあり得ます。
家賃と電気代を帳簿に入れる例
家賃120,000円のうち20,000円、電気代15,000円のうち4,500円を業務分とした場合、事業用口座から全額を支払ったなら、私用分を事業主貸へ分けます。
| 支払 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 家賃 | 地代家賃 20,000円 事業主貸 100,000円 |
普通預金 120,000円 |
| 電気代 | 水道光熱費 4,500円 事業主貸 10,500円 |
普通預金 15,000円 |
個人口座から支払い、業務分だけ帳簿へ入れる場合は、業務分を「事業主借」で計上する方法があります。会計ソフトの自動連携では全額が候補に出るため、按分ルールを登録しておくと毎月の処理が楽です。
持ち家では住宅ローン返済額をそのまま経費にしない
持ち家の場合、住宅ローンの元本返済は経費になりません。業務部分に対応する建物の減価償却費、固定資産税、火災保険料、借入金利息などを検討します。土地は減価償却できません。住宅ローン控除を受けている場合は、事業利用割合が控除に影響する可能性もあるため、安易に賃貸住宅と同じ計算をしないでください。
持ち家の計算は取得価額、建物と土地の区分、耐用年数などが関係します。金額が大きいため、初年度に税理士や税務署へ確認して計算表を作っておくと安心です。
税務調査でも説明しやすい証拠の残し方
- 賃貸借契約書と毎月の支払記録
- 間取り図に撮影・編集スペースを色分けした資料
- 仕事専用スペースの写真
- 1か月分の作業日・作業時間メモ
- 電気・通信の使用量と請求明細
- 按分割合を決めた計算メモと見直し日
途中で生活環境が変わったら割合を見直します。引っ越し、家族構成の変化、専用事務所の設置、投稿頻度の大幅な増減が見直しのタイミングです。毎月違う割合にするより、合理的な基準を決め、実態が変わるまで継続する方が管理しやすくなります。
よくある質問
家賃の50%までは経費にできますか?
一律50%という基準はありません。50%以下でも業務に必要な部分を明確に区分できれば、その部分を必要経費にできるという国税庁の通達があります。重要なのは割合の根拠です。
リビングで編集している場合も家賃を按分できますか?
可能性はありますが、家族も使う空間なので専用部屋より説明が難しくなります。使用面積に加えて、作業時間や利用状況を記録して私用分を除きます。
赤字のYouTubeチャンネルでも家賃を経費にできますか?
収入を得るために継続して行う業務との直接関係が必要です。所得区分や活動実態によって扱いが変わるため、趣味的活動の生活費を経費へ振り替えないようにします。「雑所得と事業所得の判断ポイント」も確認してください。
家事按分は毎月計算し直しますか?
家賃は同じ合理的割合を継続し、電気代は各月の請求額にその割合を掛ける方法が一般的です。利用実態が変わったら根拠とともに更新します。
まとめ
YouTube副業の家賃や電気代は、業務に直接必要な部分だけが経費です。まず作業場所の面積と利用時間を測り、電気・通信は実際の使い方に合う基準を選びます。経費項目を増やす前に、説明できる計算メモを1枚作ることから始めましょう。ほかの経費候補は「YouTubeで経費にできるもの15選」にまとめています。
参考にした公式情報
本記事は一般的な情報です。住居の利用状況や所得区分によって判断が異なるため、個別案件は税務署・税理士へご確認ください。

