暗号資産の利益はいくらから確定申告?会社員の20万円と住民税

ふくまるが暗号資産の利益と確定申告・住民税を解説するアイキャッチ 投資の税金

暗号資産の利益は「日本円に換金したときだけ」を数えればよいわけではありません。暗号資産同士の交換や商品代金の決済も所得の計算対象となる場合があります。会社員の「20万円以下」は所得税の確定申告が不要になり得る一定の条件であり、住民税の申告まで免除する一律の基準ではありません。初めて取引所の年間報告書を見た会社員が、自分の取引を分類し、申告の要否を判断する順番を説明します。国税庁の2025年12月更新資料を2026年9月25日に確認しました。

いくらから申告?先に「所得」と「収入」を分ける

給与を1か所から受け、年末調整済みで給与収入2,000万円以下など一定の要件を満たす人は、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告が原則不要になる場合があります。「暗号資産の売却代金が20万円以下」ではありません。取得費や必要経費などを考慮した所得であり、他の副業所得があれば合算して判定します。条件を満たさない人に20万円ルールを当てはめないでください。

さらに、医療費控除や寄附金控除などで所得税の確定申告をする場合には、20万円以下であってもその所得を含めて申告する必要があります。住民税は別の制度で、所得税の申告が不要でも市区町村への申告が必要な場合があります。自治体の案内で確認してください。例外や税制改正があるので、対象年の国税庁案内を確かめます。

ケースまず確認すること
売却代金が20万円取得費等を差し引いた所得はいくらか
暗号資産所得が15万円、ほかの副業所得が10万円給与・退職所得以外の所得合計と本人の申告条件
所得が5万円で医療費控除の申告をする申告書に暗号資産所得も含める
所得税の申告が不要住民税の申告が必要か市区町村に確認する

利益計算が必要になる主な取引

  • 日本円で売却:売却代金と取得価額等との差を計算する。
  • 暗号資産同士の交換:交換先の暗号資産を取得した時点の価額と、手放した暗号資産の取得価額等を照合する。
  • 商品・サービスの購入に使う:その決済に使った暗号資産の譲渡があったものとして、対価の価額と取得価額等を確認する。
  • 報酬・ステーキングなど:受け取り方と時点の時価、所得区分を確認する。取得したものを後日売る場合、同じ受取額を二重に利益と数えない。

値上がりしても、単に保有しているだけなら通常はその含み益が直ちに確定した所得になるわけではありません。ただし購入・売却以外の交換や決済を忘れると年間の所得がずれます。取引所の「入金額−出金額」だけでは利益を計算できません。

年末にする集計の順番

  1. 国内外の各取引所、ウォレット、サービスから対象年の取引履歴を取得する。取引所間の移動は売却と決めつけず、移動先と数量を照合する。
  2. 取引日・銘柄・数量・日本円換算額・手数料を一行ずつ並べ、売却、交換、決済、受領、自己口座間移動に区分する。
  3. 前年から持ち越した保有数量と取得原価を確認する。期首データがないまま今年の売却だけ集計しない。
  4. 取得価額の計算方法を確認し、国税庁の暗号資産の計算書に沿って計算する。総平均法と移動平均法を年ごとに都合よく入れ替えない。
  5. 所得区分と他の副業所得を合算し、20万円基準を使えるか、住民税申告が必要かを別々に判定する。
  6. 提出した申告書、計算過程、各サービスの履歴を保存する。

年に数回の売却のみなら集計は数十分で済むかもしれませんが、複数取引所で交換・決済・報酬があると数時間以上かかる場合があります。履歴の取得期限や退会後のダウンロード可否を先に確認してください。取引が複雑で取得原価を再現できない場合、取引所や税理士に確認します。

架空の例:20万円未満でも判断が変わる

年末調整済みの会社員が、暗号資産の売却・交換を集計して所得12万円、別の副業の所得が9万円だったとします。合計は21万円です。暗号資産だけを見て「12万円だから申告不要」と決められません。逆に暗号資産を25万円で売却したとしても、取得費用等を考慮した所得がいくらか計算しなければ、売却代金だけで20万円超とは判定できません。どちらも単純化した例で、申告要否は本人の給与やほかの所得・控除の状況によります。

費用・損失の扱いで気をつけること

国税庁資料では、暗号資産取引の所得は原則として雑所得(その他雑所得)と説明しています。ただし事業所得等の基因となる行為に付随する場合など、個別事情によって扱いが異なります。雑所得の損失を給与所得や上場株式の譲渡益と自由に相殺できるものではありません。ツール代、取引手数料を経費として入力する際も、暗号資産取引との関連と証拠を確認します。投資による損失を必ず翌年に繰り越せるとも考えないでください。

失敗例と防ぎ方

  • 交換を売却に数えない:暗号資産同士の交換も履歴へ記録する。
  • 他取引所への送金を売上にする:自己名義の移動なのか第三者への支払いなのかを確認する。
  • 昨年買ったコインの原価をゼロとする:前年末の数量と取得価額を引き継ぐ。
  • 副業所得を別々に20万円と判定:給与・退職所得以外の対象となる所得を合算する。
  • 住民税申告を忘れる:市区町村の申告案内を確認する。
  • 申告書を出すのに少額所得を省く:医療費控除等の申告時は対象所得を含める。

取得価額が分からない場合の確認順

昔から保有している暗号資産の取得価額が分からない場合、まず購入した取引所の過去履歴、銀行やカードの入金記録、メールで届いた注文通知を探します。取引所を移した人は、移動元の取得情報まで遡ってください。移動先の取引所が「受取価格0円」と表示していても、それだけで元の取得費用をゼロと確定しません。取引のつながりを再現した計算表を残します。

国税庁の計算書には総平均法や移動平均法のための記入欄があり、使用方法の扱いは取得原価に影響します。自分に有利な年だけ方法を変更して入力するのではなく、届出や継続適用の条件を確認します。履歴が一部欠ける場合は想像の金額を当てはめず、取得できる資料と不足箇所を整理して税務署・税理士へ相談してください。

家族・友人へ移した取引の注意

自分の別ウォレットへの送金と、他人への送金・商品購入は同じ扱いではありません。アドレスだけでは受取人や目的が分からなくなるため、誰に、いつ、何のために送ったかを記録します。贈与や報酬の支払いなどの場合は個別の税務上の論点があるので、この簡単な売却計算例だけで判定しないでください。

年末の作業配分

取引が十数件なら「履歴の取得」「銘柄と取引種別の確認」「原価計算」「申告要否の判定」の四段階に分けると見落としを減らせます。過去数年の取引が数百件に及ぶ場合は、申告期限直前に初めて履歴を集めても取得原価を確かめきれないことがあります。年末より前に一度、各サービスからのエクスポートと前年末残高の一致を試してください。

よくある質問

保有中の値上がり益にも課税されますか?

単に保有している間の含み益は通常その時点で確定した所得になりません。売却、交換、決済などの取引を区別して計算します。

損失が出たら給与と相殺できますか?

原則として雑所得の暗号資産取引の損失を給与所得から差し引くことはできません。所得区分が特殊な場合には専門家へ相談してください。

20万円以下なら書類保存も不要ですか?

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告や翌年の取得原価の計算に履歴が必要になります。取引履歴と計算表を残しましょう。

判定チェックリスト

  • 売却だけでなく交換・決済・受領履歴も集計した
  • 前年からの取得原価・数量を確認した
  • ほかの副業所得と合計した
  • 医療費控除などで確定申告する予定を確認した
  • 住民税について市区町村の案内を確認した

参考:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い」、国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」、国税庁「申告が必要かなどを調べる」。公式情報確認日:2026年9月25日。

給与以外の所得が少ない場合でも、所得税と住民税の申告は別に考えます。申告要否を確認するなら 会社員YouTuberの住民税|20万円以下でも申告が必要?をご覧ください。

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