YouTube用にカメラやパソコンを買ったとき、「機材代」でまとめて経費にすればよいとは限りません。購入額と申告方法によって、購入年に全額を経費にするか、数年に分けて減価償却するかが変わります。
先に結論:金額ごとに処理が変わる
| 取得価額 | 主な処理 | 注意点 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 原則、使用開始年に全額を必要経費 | 私用分は家事按分する |
| 10万円以上20万円未満 | 通常の減価償却または3年均等の一括償却 | 青色申告者は少額資産特例も確認 |
| 20万円以上 | 原則、固定資産として減価償却 | 青色申告者の特例対象額は年度で確認 |
2026年度税制改正では、青色申告の中小事業者向け少額減価償却資産の上限を30万円未満から40万円未満へ引き上げ、適用期限を延長する方針が示されています。実際に使う際は、取得日と適用要件を国税庁の最新案内で確認してください。
取得価額は本体価格だけではない
判定に使う取得価額には、機材を使える状態にするための付随費用を含めます。たとえばカメラ本体18万円、必須レンズ7万円、送料5千円を一体で使用するなら、単純に本体だけで判定できない場合があります。反対に、単独で機能するマイクや照明は別資産として扱えることがあります。
- カメラ、レンズ、三脚
- 編集用パソコン、モニター
- マイク、オーディオインターフェース
- 照明、撮影用背景
- 購入時の送料や初期設定費
減価償却は「買った日」ではなく使用開始から
12月にパソコンを注文しても、届いたのが翌年で動画編集に使い始めたのも翌年なら、原則として翌年から処理します。領収書だけでなく、納品日や使用開始日が分かるメールも残しておくと説明しやすくなります。
YouTube用パソコンの計算例
30万円のパソコンを動画編集80%、私用20%で使うとします。業務分は24万円です。ただし、10万円などの金額判定を按分後の金額だけで行うとは限りません。まず資産の取得価額と適用制度を確認し、その後に事業使用割合を掛けて必要経費を計算する流れが安全です。
家事按分の考え方はYouTube副業の家賃・電気代は経費になる?、機材以外の支出はYouTubeで経費にできるもの15選も参考にしてください。
帳簿と一緒に残す証拠
- 領収書または購入明細
- 製品名、型番、購入日
- 使用開始日
- 事業使用割合と計算根拠
- 固定資産台帳
- 売却・廃棄した日と金額
よくある質問
分割払いなら月額で判定できますか?
通常は支払回数ではなく資産の取得価額で判定します。30万円のパソコンを10回払いにしても、3万円の消耗品を10回買った扱いにはなりません。
中古機材も減価償却しますか?
中古でも取得価額が基準を超えれば資産計上が必要です。耐用年数の計算が新品と異なることがあるため、購入日、製造年、取得価額を控えておきましょう。
スマホは経費にできますか?
撮影、配信、コメント管理など業務で使う部分は対象になり得ます。私用もある場合は、使用時間や利用実態に基づく割合を決め、毎年同じ基準で説明できるようにします。
カメラ一式は別々に判定できる?
カメラ本体、交換レンズ、外付けマイクを同時に購入しても、必ず合計額で1資産になるとは限りません。単独で機能するか、通常どの単位で取引されるか、組み合わせなければ使えないかで考えます。たとえば交換レンズはカメラ本体と別に売買され、別の本体にも使えるため、個別管理が考えられます。一方、パソコン本体に組み込む部品や初期設定費は、本体の取得価額に含める場合があります。
購入額別の処理例
| 購入例 | 確認する処理 | 帳簿で残す情報 |
|---|---|---|
| 9万円のマイク | 使用開始年の消耗品費 | 型番、用途、使用開始日 |
| 18万円のカメラ | 通常償却、一括償却、青色申告の特例 | 選んだ方法と取得価額 |
| 35万円の編集用PC | 通常償却または改正後の特例要件 | 固定資産台帳、業務割合 |
買い替え・売却・廃棄したとき
減価償却中の機材を売った場合、売却代金を単純に売上へ入れるだけでは終わりません。帳簿上の未償却残高を確認し、売却や除却の処理が必要です。フリマアプリで売った場合も、取引画面、手数料、送料、入金額を保存します。壊れて捨てた場合は、処分日と廃棄した事実が分かる写真や回収伝票を残しておくと整理しやすくなります。
よくある間違い
- 分割払いの月額で10万円未満と判定する
- 年末に注文しただけでその年の経費にする
- 私用でも使うパソコンを100%業務用とする
- 送料や設定費を取得価額から外す
- 売却した機材を固定資産台帳に残し続ける
高額機材ほど購入時の処理を後から直す負担が大きくなります。購入前に見積書を保存し、会計ソフトで固定資産の登録方法を確認しておくと、確定申告直前に慌てずに済みます。
税込価格と税抜価格のどちらで判定しますか?
免税事業者や税込経理は税込価格、税抜経理を採用する課税事業者は税抜価格を基準にするのが基本です。同じ機材でも経理方式で区分が変わるため、領収書の総額だけで判断しないでください。
家族と共用するカメラも対象ですか?
業務で使う実態があれば対象になり得ますが、私用部分を除きます。撮影日、動画本数、使用時間など合理的な基準を決め、割合の根拠を残しましょう。
購入前に税理士へ確認したいケース
40万円前後の機材を複数購入する、補助金を使う、下取りと買い替えを同時に行う、法人化を予定している場合は、購入前の確認がおすすめです。購入後では取得日や処理方法を変えられないことがあります。見積書、購入予定日、事業使用割合、現在の申告方法をまとめて相談すると、必要な回答を得やすくなります。
まとめ
YouTube機材は「買ったから全額経費」ではなく、取得価額、使用開始日、申告方法、事業使用割合で処理を決めます。高額機材を年末にまとめ買いする前に、10万円・20万円の区分と青色申告の少額資産特例を確認し、固定資産台帳まで残しましょう。

