副業を始めると、動画編集の講座やブログの教材、書籍を買いたくなります。支払っただけで自動的に経費になるわけではありません。判断の中心は、その支出が副業の収入を得る業務に直接必要だったと説明できるかです。ここでは、YouTubeやブログの副収入を目指す個人が講座代を記録する手順を、国税庁の必要経費の考え方に沿って整理します。個別の所得区分や税務判断は税務署・税理士に確認してください。
結論:購入目的と実際の利用を一緒に記録する
国税庁は、事業所得などの必要経費について、総収入金額を得るために直接要した費用と、その業務について生じた販売費・一般管理費などを示しています。私的な支出との共通部分は、取引の記録などに基づき業務上直接必要な部分を明らかに区分できる場合に限ります。講座・本という形式ではなく、業務との関係を見ます。購入時の宣伝文句や「副業」というタイトルだけでは足りません。
| 購入例 | 確認する関係 | 残したい証拠 |
|---|---|---|
| 運営中の動画で使う編集講座 | 編集工程の学習と動画制作 | 受講日、講義内容、制作した動画 |
| ブログの取材に使う専門書 | 記事の根拠と執筆作業 | 書名、注文履歴、対象記事 |
| 趣味と副業にまたがる写真講座 | 副業に用いた部分の区分 | 業務利用の内容、私用との差 |
| 収入活動と関係の薄い自己啓発 | 具体的な業務との接点 | 購入目的だけでは判断しない |
受講したのに成果物がまだない場合も直ちに否定はできませんが、何の業務を始めるために何を学び、どこまで実行したかを書き残す方が説明しやすくなります。儲かったかどうかだけで判断するものでもありません。
購入前に5分で行う確認
- いま行っている副業と次に作る成果物を一文で書く。漠然と将来使う予定なら、契約を急がない。
- 講座のカリキュラム、受講期間、更新条件、返金条件を保存する。広告ページの誇大な成果例を自分の収入見込みへ転用しない。
- 同じ内容が既に買った教材にないか確認する。何を学び足すのか明確にする。
- 会社員としての勤務先から教育費を受け取る場合は、副業の費用と二重にしない。
- 領収書に表示される販売者、商品名、金額、日付、税区分を確かめる。マーケットプレイス経由なら決済事業者と提供者が異なる場合もある。
たとえば「サムネイル制作の講座」を検討する人なら、実際に運営するチャンネルのサムネイルを何枚作るか、既存の制作方法で何が難しいかを書きます。学んだ後、3枚の画像を制作して工程と作業時間を比較すれば、購入の業務目的が具体的になります。ただしこの例は検証設計であり、実際の成果を示す体験談ではありません。
支払いから帳簿までの手順
1. 証憑を一取引ごとにまとめる
購入メール、請求書または領収書、カード明細、講座ページの受講期間を同じ取引番号で対応させます。カード明細の金額だけでは商品名が分からないことがあります。メールの件名に商品名があっても、返金や分割払いが後から生じる可能性があります。決済履歴と提供された役務を照合してください。
2. 副業でどう使ったかを記録する
「動画編集の色調整を学び、9月の3本で色味を揃えるために使った」のように、作業工程と成果物を記録します。本なら読み終えた日より、調べた項目と制作物との関連が有用です。書籍を所有することそのものが業務利用の証明にはなりません。私用にも使う場合は、その部分を混ぜず、合理的な区分の根拠を残します。
3. 計上する額と期間を確かめる
月額講座、買い切り教材、年額の学習サービスでは提供期間が違います。支払日だけを見て一律に処理せず、契約期間と自分の記帳方法を確認してください。返金やキャンセルがあれば、元の費用と返金を対応させて帳簿を見直します。分割決済は総額と手数料、引き落とし回数を区別します。税区分も国内外の販売者や登録状況によって変わるため、画面の表示だけで決めつけません。
給与所得者の特定支出控除と混同しない
会社員の職務のための研修・図書費について、国税庁には給与所得者の特定支出控除という別の制度があります。これは副業の必要経費を自動的に認める規定ではありません。勤務先の仕事に関する研修と個人の副業に関する講座を同じ申告欄へ入れないでください。支出の目的が両方にまたがるなら、区分を説明できる記録と専門家への確認が必要です。
失敗しやすいケース
広告の「経費にできる」を鵜呑みにする
販売者が経費になると宣伝しても、購入者の業務実態は販売者には分かりません。高額講座ほど、購入前に税務上の可否と事業上の回収見込みを分けて検討します。経費として扱えても支払額が全額戻るという意味ではありません。
サブスクを解約し忘れる
月額制の講座を受講後も放置すると、新しい学びがないのに請求だけ続きます。更新日の前に、視聴済みの講義と今後使う科目を比較し、継続理由がなければ停止を検討します。解約画面と最終請求を保存します。
記事に使った本を丸写しする
書籍を買ったことと、その表現を転載できることは別です。得た知識を自分で検証し、自分の言葉で説明します。表や画像、長い引用をそのまま掲載するなら著作権の条件を確認してください。購入したオンライン教材の画面共有や再配布も利用規約を確認します。
返品後も元の費用を残す
返金に気づかず購入時の支出だけを記帳すると数字が合わなくなります。月次のカード明細でマイナスの取引や返金予定を照合し、元の注文番号と結び付けます。
よくある質問
まだ副業収入がゼロなら経費は無理?
収入がないという一点だけで決まりません。具体的な収入活動と支出の必要性、所得区分を確認します。単なる趣味や漫然とした学習との差を示せない場合は慎重に判断してください。
本の一部しか記事に使わなかった場合は?
読む範囲だけで単純な割合が決まるわけではありません。購入目的と実際の副業利用、私用の有無を合わせて考えます。自分で作った機械的な按分率を法定基準のように扱わないでください。
領収書が出ない海外の講座は?
注文内容、決済履歴、提供期間、販売者が分かる資料を集めます。外貨なら換算の根拠も保存します。証憑が不足しているときは提供元のサポートへ発行方法を確認し、推測で額を埋めないでください。
迷ったときの記録テンプレート
一行に「購入日/教材名/販売者/金額/対象期間/副業の作業名/成果物のURLまたは保存場所/私用の有無/返金の有無」を並べます。例えば動画編集講座なら、どの動画のどの工程に学習内容を使ったかを短く記録します。公開前でURLがないときは、制作途中のファイル名や企画書の保存場所を入れておき、公開後に追記します。記録が空白のまま何カ月も続く教材は、その後の業務利用を再評価するきっかけになります。
申告前のチェックリスト
- 講座や本と副業の具体的な成果物を対応させた
- 私用と勤務先利用を区別した
- 注文、請求、決済、返金を一取引として照合した
- 年額・分割・外貨を支払日だけで処理していない
- 同じ領収書を二重に入力していない
- 収益予測を販売者の宣伝から作っていない
記事制作や動画制作の費用を整理するなら、講座の購入判断だけでなく、毎月の売上・制作作業・継続費も一緒に見直してください。節税目的で不要な教材を買うより、今ある教材から一つの成果物を仕上げることが先です。
公式情報と確認日
2026年9月26日確認:国税庁「必要経費の知識」、国税庁「給与所得者の特定支出控除」。税制は申告年の案内を改めて確認してください。
関連する操作は収益化前に支払った機材・ソフト費の整理も参照してください。

