YouTube収益の所得は、原則として「収入−必要経費」で計算します。ただし、動画に関係しそうな支出なら何でも経費になるわけではありません。大切なのは、収益を得るために必要だったことを説明できるか、私用分を分けられるか、証拠を残しているかです。
この記事は2026年9月8日時点で確認できる国税庁の公開情報をもとにした一般的な解説です。個別の判断は税務署または税理士へご確認ください。
YouTubeの必要経費、3つの判断基準
- 収益との関係:その支出が動画制作や収益獲得に必要だったか
- 業務割合:私用と共用なら、業務で使った部分を合理的に分けられるか
- 証拠:領収書、請求書、利用履歴、企画書などで説明できるか
国税庁は、必要経費を「総収入金額を得るために直接要した費用」や「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用」と説明しています。参考:国税庁「必要経費の知識」
YouTubeで経費になり得るもの15選
1.カメラ・レンズ・スマートフォン
撮影専用なら業務との関係を説明しやすい支出です。私用でも使うスマートフォンは、撮影・連絡などの業務使用分だけを分けます。高額な機材は減価償却が必要な場合があります。
2.マイク・オーディオ機器
動画の収録や配信に使うマイク、オーディオインターフェース、録音機器などが該当します。
3.照明・三脚・撮影アクセサリー
リングライト、ソフトボックス、三脚、ジンバル、背景布など、撮影環境を整える支出です。
4.編集用パソコン・モニター・ストレージ
動画編集に使うパソコン、モニター、SSD、バックアップ用ストレージなど。私用と共用する場合は業務割合を記録します。
5.動画編集・画像編集ソフト
Premiere Pro、After Effects、Photoshopなどの利用料は、YouTube制作に使う範囲で経費になり得ます。
6.素材・BGM・効果音の利用料
動画で使用する有料素材、フォント、音楽、効果音、テンプレートなど。利用規約と請求書も保存しましょう。
7.クラウド・生成AI・業務ツール
台本作成、文字起こし、画像制作、データ保存、プロジェクト管理など、動画業務に使うサービスの料金です。私用プランとの区別を残します。
8.インターネット・スマホ通信費
アップロード、ライブ配信、リサーチ、連絡などに使う通信費。家庭用回線や個人スマホは、利用時間・通信量など合理的な基準で業務分を按分します。
9.自宅家賃・電気代
自宅の一部を撮影・編集専用スペースとして使う場合、使用面積や使用時間などに基づき業務分を計算します。生活部分まで全額を経費にすることはできません。
10.撮影スタジオ・会議室代
撮影や打ち合わせのために借りたスタジオ、レンタルスペース、会議室の料金です。
11.交通費・宿泊費
撮影、取材、打ち合わせなど業務目的の移動費。旅行を兼ねる場合は、業務日程と私用日程を分け、企画書や撮影データを残します。
12.外注費
動画編集、サムネイル、台本、ナレーション、翻訳などを外部へ依頼した費用です。請求書、契約内容、支払記録を保存します。
13.出演料・撮影協力費
動画出演者や撮影協力者へ支払う報酬。支払先、目的、金額を記録し、必要に応じて源泉徴収の要否も確認します。
14.書籍・資料・取材費
動画テーマの調査に直接必要な書籍、専門資料、取材先の入場料など。単なる趣味・娯楽との区別が重要です。
15.広告宣伝費
チャンネルや動画の告知を目的とする広告配信、チラシ、キャンペーン素材などの費用です。
要注意:全額経費にしにくい支出
- 普段着としても使える衣服、美容代
- 自分や家族の日常の食事代
- 観光が中心の旅行代
- 私用割合を説明できない家賃・通信費
- 動画との関係を説明できない趣味用品
「動画に映した」だけで自動的に経費になるわけではありません。収益との直接的な関係と、業務上必要だった理由を説明できる状態にしておきます。
10万円以上の機材は処理方法を確認
取得価額が10万円未満の減価償却資産は、原則として使用を始めた年の必要経費にできます。一方、10万円以上のパソコンやカメラなどは、減価償却や一括償却資産の処理を確認します。青色申告者向けの特例は適用条件があるため、金額だけで判断しないでください。
経費の証拠はセットで保存
- 領収書・レシート・請求書
- クレジットカードや銀行の利用明細
- 購入した目的を記したメモ
- 動画URL、企画書、撮影日程
- 家事按分の計算根拠
迷った支出は「なぜ必要だったか」「どの動画に使ったか」「私用分をどう除いたか」を記録します。会計ソフトで取引と証拠書類を結び付けておくと、確定申告の集計が楽になります。
迷った支出を判断する5つの質問
- その支出がなければ、動画の企画・撮影・編集・収益化に具体的な支障があるか
- どの動画や業務で使ったかを説明できるか
- 私生活でも使う場合、事業利用分を合理的に分けられるか
- 金額が仕事内容や収益規模に対して不自然に大きくないか
- 領収書に加えて、利用目的や関連動画を示す記録を残せるか
「YouTuberが買ったものだから経費」ではなく、収益を得る活動との関連性を支出ごとに説明できることが重要です。同じ商品でも、チャンネル内容や使い方によって判断が変わります。
ケース別:全額・家事按分・対象外の考え方
| 支出例 | 使い方 | 整理の方向性 |
|---|---|---|
| 撮影専用マイク | 動画収録にのみ使用 | 業務との関連を説明できれば経費候補 |
| 自宅のインターネット | 編集・投稿と私生活の両方で使用 | 使用時間など合理的な基準で家事按分 |
| 旅行先の宿泊費 | 家族旅行が中心で動画を少し撮影 | 全額計上は難しい。撮影目的と私用部分を区分 |
| 普段着 | 日常でも着用し、動画にも出演 | 私的支出との区分が難しく慎重な判断が必要 |
| 動画編集の外注 | 納品物と請求書がある | 動画制作との関連を記録して経費候補 |
経費にするなら残したい「用途メモ」
領収書だけでは、YouTube活動との関係が分からないことがあります。購入日、金額、商品名に加えて、「○月公開のレビュー動画で使用」「週3日の編集作業に使用」「通信費のうち業務利用40%」など、用途と計算根拠をメモしましょう。
- 関連する動画URLまたは企画名
- 使用日・使用回数・作業時間
- 私用と共用なら家事按分の割合と根拠
- 外注なら依頼内容、納品物、相手先
- 高額機材なら取得日、金額、使用開始日
毎回ゼロから迷わないよう、通信費は使用時間、家賃は作業スペースの面積など、自分の活動に合う基準を一度決めて継続すると帳簿が整います。特殊な支出や金額の大きい購入は、申告前に税務署・税理士へ確認してください。
まとめ
YouTubeの経費で最も重要なのは、品目名ではなく業務との関係です。機材、ソフト、通信費、家賃などは経費になり得ますが、私用が混ざるものは合理的に分けます。購入時から証拠と根拠を残し、判断に迷う高額支出や家事按分は税務署・税理士へ確認しましょう。

