「YouTubeで少し収益が出たけれど、いくらから確定申告が必要?」と迷う人は多いでしょう。結論からいうと、会社員にはよく知られる「20万円」の目安がありますが、判定に使うのは売上ではなく、原則として収入から必要経費を引いた所得です。また、専業の人に20万円ルールはありません。
この記事は2026年9月8日時点で確認できる国税庁・自治体の公開情報をもとにした一般的な解説です。個別事情によって結論が変わるため、最終判断は税務署または税理士へご確認ください。
最初に確認:20万円は「売上」ではなく「所得」
YouTubeの所得は、基本的に次の考え方で計算します。
所得 = YouTubeなどの収入 − その収入を得るために直接必要だった経費
たとえば、年間の広告収入や案件収入が30万円、必要経費が12万円なら、所得は18万円です。収入30万円だけを見て判断しないことが大切です。
会社員:副収入の所得合計が20万円を超えるか確認
1か所から給与を受け取り、給与の全部が源泉徴収の対象となる一般的な会社員の場合、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。YouTubeだけでなく、SNS案件、アフィリエイト、原稿料など、ほかの副収入に係る所得も合算して判断します。
- YouTube所得15万円+アフィリエイト所得8万円=合計23万円:原則として確定申告が必要
- YouTube収入30万円−必要経費12万円=所得18万円:ほかの副所得がなければ20万円以下
- 給与収入が2,000万円を超える場合や給与を2か所以上から受け取る場合などは、別の条件があります
詳しい条件は国税庁の「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。
20万円以下でも住民税の申告が必要なことがある
「20万円以下なら何もしなくてよい」とは限りません。20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税は原則として申告が必要と案内している自治体があります。手続きや例外は自治体によって確認が必要なため、お住まいの市区町村へ確認してください。
また、医療費控除や寄附金控除などを受けるために所得税の確定申告をする場合は、20万円以下の副所得も含めて申告します。自治体案内の例として、名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」も参考になります。
専業・フリーランス:20万円ルールでは判定しない
会社員ではない人は、原則として「副所得20万円以下なら申告不要」という給与所得者向けの取扱いで判断しません。YouTube以外を含む年間所得、所得控除、源泉徴収税額などをもとに申告の要否を確認します。
YouTube活動が事業所得か雑所得かは、売上だけで自動的に決まるものではありません。営利性、継続性、規模、帳簿書類の保存状況などを含む実態で判断されます。国税庁は、営利を目的として継続的に行う副業による所得を「業務に係る雑所得」の例として説明しています。
参考:国税庁「雑所得」
YouTube収益に含めて整理したいもの
- YouTubeの広告収入
- 企業案件・タイアップの報酬
- メンバーシップや投げ銭などの受取額
- 動画経由のアフィリエイト成果報酬
- 関連するSNS、note、コンテンツ販売などの収入
入金日だけで集計すると漏れやずれが起きることがあります。収益レポート、請求書、銀行や決済サービスの入出金履歴を保存し、毎月記録しておくと申告時に慌てません。
必要経費になり得る支出
- 撮影機材、マイク、照明、編集用パソコン
- 動画編集ソフト、素材サイト、クラウドサービスの利用料
- 撮影や取材の交通費・会場費
- 業務に使う通信費
- 外注した編集・サムネイル制作費
経費になるのは、収益を得るために必要だった部分です。私用と共用するスマホ、インターネット回線、パソコンなどは、使用実態に応じて業務分を分けて計上します。高額な機材は購入年に全額を経費にできず、減価償却が必要になる場合もあります。
今日から準備するもの
- 年間の収入をサービス別に集計する
- 領収書・請求書・カード明細を集める
- 私用と共用する支出の業務割合を決め、根拠を残す
- ほかの副収入の所得も合算する
- 会社員・専業など自分の条件で申告要否を確認する
収益が小さい段階から記録を始めると、所得が20万円を超えた年にもスムーズに対応できます。まずは月ごとに「収入・支出・内容・証拠書類」をそろえるところから始めましょう。
申告が必要か4ステップで確認
- 働き方を確認する:会社員か、専業・フリーランスかで入口が異なります。
- すべての副収入を集める:YouTube広告だけでなく、企業案件、アフィリエイト、投げ銭、メンバーシップなども漏れなく集計します。
- 必要経費を差し引く:収益を得るために必要な支出のうち、私用分を除いた金額で所得を計算します。
- ほかの所得と申告条件を確認する:会社員は給与・退職所得以外の所得合計、専業は所得控除なども含めて判定します。
会社員の20万円判定は「YouTubeだけ」の利益ではありません。たとえばYouTube所得12万円、SNS案件所得5万円、アフィリエイト所得6万円なら、副所得の合計は23万円です。
ケース別の計算例
| ケース | 計算 | 所得税の目安 |
|---|---|---|
| 会社員・YouTubeだけ | 収入32万円−経費14万円=所得18万円 | 一般的な条件では20万円以下。ただし住民税申告を確認 |
| 会社員・副収入が複数 | YouTube15万円+SNS案件9万円=所得合計24万円 | 原則として確定申告が必要 |
| 専業クリエイター | 収入120万円−経費35万円=所得85万円 | 20万円ルールではなく、所得控除などを含めて判定 |
上の表は考え方を示す簡略例です。給与収入が2,000万円を超える、給与を2か所以上から受け取る、年末調整されていない、医療費控除などのために申告する、といった事情がある場合は結論が変わります。
よくある質問
支払調書が届かなければ申告しなくてよいですか?
支払調書の有無だけで申告要否は決まりません。管理画面の収益レポート、入金明細、案件の請求書などから自分で年間収入と必要経費を集計します。
20万円以下なら帳簿や領収書は捨ててもよいですか?
申告不要と判断した年でも、計算根拠を説明できるように収益レポート、入金履歴、領収書、家事按分の計算メモを残しておくのが安全です。翌年に収益が増えたときも、同じ方法で帳簿を続けやすくなります。
所得税の確定申告をすれば住民税申告も必要ですか?
通常、所得税の確定申告をした内容は自治体へ連携されるため、同じ所得について住民税申告を別に出す必要はありません。所得税の確定申告をしない場合は、住民税の手続きを市区町村へ確認してください。
まとめ
- 会社員の20万円基準は、売上ではなく給与・退職所得以外の所得合計で判断する
- 20万円以下でも、住民税の申告や、ほかの理由で確定申告する場合の記載が必要になることがある
- 専業の人は20万円ルールで判断しない
- YouTubeだけでなく、SNS案件やアフィリエイトなども合算する
- 収益レポートと経費の証拠を毎月保存する
