企業から商品を無料でもらい、動画やSNSで紹介する案件は、現金報酬がなくても収入になる可能性があります。判断の中心は「無料でもらったか」ではなく、投稿やレビューの対価として経済的利益を受け取ったかです。契約内容、商品の所有権、返却義務、通常価格を記録し、単なる貸与品と現物報酬を分けましょう。申告が必要になる基本条件はYouTube収益はいくらから確定申告が必要?で確認できます。
商品提供が収入になるケース
「商品を提供するので動画で紹介してください」という条件があり、受け取った商品を返さなくてよいなら、商品の価値が報酬の一部と判断されやすくなります。現金5万円と10万円相当のカメラを受け取った場合、現金だけを売上にすると現物部分が漏れます。
| 受け取り方 | 確認点 | 処理の考え方 |
|---|---|---|
| 投稿条件付きで商品をもらう | 返却不要・所有権移転 | 現物報酬として収入を検討 |
| 撮影後に返却する | 貸与契約・返却記録 | 通常は自分の資産や収入にしない |
| 抽選プレゼント | 業務との対価性 | 一時所得など別区分も確認 |
| 割引購入 | 通常の値引きか案件報酬か | 契約実態で判断 |
金額はどう決める?
請求書や契約書に評価額が記載されていれば、まずその金額を確認します。記載がない場合は、提供時点の公式販売価格や一般的な実売価格など、合理的に説明できる金額を使います。発売直後の定価と型落ち商品の中古価格では差があるため、価格ページや見積書の画面も保存してください。
仕訳例
レビューを条件に8万円相当のマイクを受け取り、今後も撮影専用で使う例です。収入として8万円を計上し、業務で消費・使用する実態に応じて消耗品費や工具器具備品などを検討します。10万円以上の機材は、単純な消耗品費ではなく減価償却の対象になる場合があります。
| 状況 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 業務専用の少額商品 | 消耗品費 80,000円 | 売上高 80,000円 |
| 受取後に私用 | 事業主貸 80,000円 | 売上高 80,000円 |
| 返却前提の貸与 | 原則仕訳なし | 貸与記録を保存 |
収入と経費が同額になるケースでも、最初から何も記帳しないとは限りません。業務利用と私用が混ざる商品は、使用割合の根拠も必要です。高額商品、旅行招待、サービスの無償利用など評価が難しい案件は、契約前に税務署や税理士へ確認すると安全です。
源泉徴収と請求書
現金報酬もある案件では、支払明細に源泉所得税が記載されていることがあります。振込額だけを売上にせず、報酬総額と源泉徴収税額を分けて記帳します。商品提供分を含めてどの金額を報酬として扱ったか、企業側の明細と自分の帳簿が一致するか確認してください。
残すべき証拠
- 依頼メール、DM、契約書
- 投稿条件と返却義務の有無
- 商品の型番、到着日、販売価格
- 公開した動画・投稿のURLと画面
- 現金報酬の支払明細、源泉徴収額
- 返却した場合の配送伝票
よくある質問
投稿義務のないサンプルも収入ですか?
すべてが一律に収入とは限りません。企業との関係、提供目的、自由に処分できるかなど事実関係で判断します。依頼文を残し、対価性が曖昧なら専門家へ確認してください。
使い切る化粧品や食品なら申告不要ですか?
消耗品かどうかだけでは決まりません。紹介の対価として受け取ったなら、受取時の経済的価値を確認します。業務で使った部分を経費にできるかは別途判断します。
開封後に捨てた場合は?
捨てたことだけで受取時の収入が消えるとは限りません。撮影用途、処分理由、処分日が分かる記録を残します。
まとめ
商品提供案件では、現金の有無より投稿との対価性が重要です。契約、価格、所有権、利用方法を記録し、貸与品・現物報酬・私用を分けましょう。案件ごとに条件が違うため、一覧表を作って会計ソフトへ月次入力すると申告漏れを防げます。
案件管理表を作ると申告漏れを防げる
商品提供は銀行口座に入金がないため、現金報酬より見落としやすい収益です。案件ごとに「企業名、依頼日、受取日、商品名、評価額、投稿期限、公開URL、返却日、現金報酬、源泉徴収」の列を作りましょう。年末にDMをさかのぼる方法では、削除済みメッセージや価格改定の影響で証拠を集めにくくなります。
たとえば定価12万円、提供時の一般的な実売価格9万円の撮影機材を受け取った場合、なぜ9万円で評価したか説明できるよう、同日の公式ストアや複数販売店の価格を保存します。自分の都合で低い中古価格を選ぶのは避け、毎回同じ考え方で評価してください。
受け取った商品の使い方で経費処理が変わる
動画で一度紹介した後も撮影機材として継続使用する商品、レビュー後に私生活で使う商品、視聴者プレゼントとして発送する商品では処理が異なります。業務専用なら必要経費や固定資産を検討し、私用へ移した場合は事業主貸などで区分します。視聴者へ発送する場合は、抽選記録、当選連絡、送料の領収書も残しましょう。
| 受取後の用途 | 残す記録 |
|---|---|
| 撮影で継続使用 | 撮影日、使用動画、保管場所 |
| 私生活で使用 | 業務から外した日、使用割合 |
| 視聴者プレゼント | 企画ページ、抽選、配送伝票 |
| 売却 | 販売価格、手数料、送料、入金 |
提供品をフリマアプリで売却した場合、売却代金も帳簿上の確認が必要です。受取時の評価額、経費計上の有無、売却額を並べて整理し、二重計上や計上漏れを防ぎます。
契約前に確認するチェックリスト
- 商品は返却するのか、もらえるのか
- 投稿しなかった場合に返還義務があるか
- 企業が示す商品評価額はいくらか
- 現金報酬と源泉徴収の明細が出るか
- 二次利用や広告利用の追加報酬があるか
数十万円の商品、家族旅行や宿泊の招待、海外企業からの提供などは、所得税だけでなく消費税や外貨換算も絡むことがあります。自己判断でゼロ円処理せず、契約書を見せて税務署や税理士へ確認してください。

